日本旧石器学会

学会設立の経過

 2000年11月に発覚した前・中期旧石器時代遺跡捏造問題については,その後の日本考古学協会および地元の学会・自治体等の検証作業により,20数年間にわたって捏造が行われていたことが明らかにされました。この間,考古学界は捏造を防止できなかったことについて厳しい世論の批判をあびてきました。とりわけ日本列島における旧石器時代の研究が,蓄積されつつある膨大な資料のなかで地域ごとの研究や個別テーマの研究を深化させた一方で,研究の方法論的な点検,地質学・人類学・古生物学・古植生学等の隣接科学分野との連携,海外研究者との交流の推進に必ずしも十分な配慮を行ってこなかった等の点は,強く反省しなければならないところです。

 そこでわたしたちは,そうした反省点の克服をめざすとともに,旧石器時代史あるいは先史時代史の全体像を視野に入れつつ幅広い議論を行う場として日本旧石器学会を設立することとし,2003年3月22日に神奈川県において発起人会をもちました。2003年12月20日(土)・21日(日)には神奈川県横浜市健康福祉総合センター(横浜市中区桜木町1−1)4Fで設立総会の研究集会 シンポジウム「後期旧石器時代のはじまりを探る」を開催しました。

 現在,日本旧石器学会は,定期的な会誌およびニュースレターの刊行,研究集会の開催,地域研究団体との連携等の活動を推進しています。2008年6月,中国・韓国・ロシアの研究者間で定期的な研究交流の場として「東アジア旧石器協会」が設立され,日本旧石器学会は日本側団体としてこれに積極的に加わり,各国持ち回りの研究集会の開催を中心に,研究と研究者の交流を着実に発展させたいと考えています。

設立の趣旨

 本学会は,国内研究者の連携をはかるとともに,海外の研究者との積極的な交流につとめ,国際的な学会活動に参画する。
 会員の構成は,考古学分野の研究者に限らず隣接諸科学の研究者も包括する。
 本学会は,高い学術研究水準と研究者としての責任感・批判的精神・倫理観を十全に保つ。


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